津波警報で芦原中学校に多くの車|2024年1月1日のあわら市の避難を振り返る

2024年1月1日に発生した能登半島地震。

あわら市でも大きな揺れを観測し、日本海側に津波警報が発表されました。

そのとき、市内では多くの人が実際に避難しました。

その中で、今も強く印象に残っている光景があります。

芦原中学校の駐車場に、多くの車が集まっていたことです。

この記事では、2024年1月1日に地域で実際に見られた避難行動を記録し、「次に同じことが起きたら、どう避難するのか」を考えます。

2024年1月1日の津波警報で芦原中学校の駐車場に多くの車が集まった様子を伝えるインフォグラフィック
2024年1月1日の津波警報時、芦原中学校の駐車場に多くの車が集まった様子をもとに、当時の避難行動を振り返ります。

この記事は、芦原中学校を津波時の避難先として案内するものではありません。

当時、実際に見られた避難行動を記録し、今後の備えを考えるための記事です。

このページの内容

2024年1月1日、あわら市にも津波警報

2024年1月1日16時10分、石川県能登地方を震源とするマグニチュード7.6の地震が発生しました。

あわら市では震度5強を観測。16時12分に福井県へ津波注意報が発表され、16時22分には津波警報へ切り替えられました。

あわら市は17時30分に災害対策本部を設置し、18時50分には市内22か所すべての指定避難所を開設しました。

市の記録では、そのうち10か所に96人が避難しています。

2024年1月1日の地震発生からあわら市の指定避難所開設までの流れを示したタイムライン
2024年1月1日、地震発生から津波警報、市災害対策本部の設置、指定避難所開設までの主な流れ。

ただ、実際の避難行動は、この「96人」という数字だけでは分かりません。

地域で独自に避難した人や、車で移動して安全な場所で待機した人など、指定避難所の集計だけでは見えない避難もありました。

芦原中学校の駐車場に、多くの車が集まった

津波警報が発表された当時、芦原中学校の駐車場には多くの車が集まり、駐車場がいっぱいになるような状況が見られました。

これは、市が公表した施設別の避難者数ではありません。

当時、あわらタイムズ運営者が現地で確認した地域の記録です。

そのため、

  • 何人が避難していたのか
  • どの地区から来ていたのか

について、この記事では推測しません。

ただ、

津波警報が出たとき、芦原中学校へ多くの車が集まった。

この事実は、次の津波避難を考えるうえで残しておく価値があると考えています。

本荘小学校・新郷小学校は「洪水時は2階以上」

本荘地区には本荘小学校、新郷地区には新郷小学校があります。

現在あわら市が公開している指定緊急避難場所の一覧では、本荘小学校と新郷小学校は洪水時の指定緊急避難場所となっており、いずれも「洪水時2階以上避難」とされています。

一方、津波の欄はいずれも対象外です。

芦原中学校も指定避難所ではありますが、現在の一覧では津波の指定緊急避難場所にはなっていません。

本荘小学校・新郷小学校・芦原中学校の避難場所の指定と2024年の実際の避難行動を整理した図
避難所として指定されている施設でも、災害の種類によって利用できる指定緊急避難場所は異なります。

ここは、とても大切なところです。

「避難所として指定されている施設なら、どの災害でも同じように避難すればいい」わけではありません。

洪水、地震、津波、土砂災害など、災害の種類によって使える避難場所は異なります。

なぜ芦原中学校へ向かったのか

本荘・新郷地区周辺には竹田川があります。

津波警報が発表されたとき、

「川の近くにいて大丈夫なのだろうか」

「もう少し離れた場所へ移動した方がいいのではないか」

と不安を感じる人がいても不思議ではありません。

そして実際に、2024年1月1日には芦原中学校へ多くの車が集まりました。

ただし、

「本荘・新郷の住民が、竹田川を心配して芦原中学校へ避難した」

とまで断定できる資料や聞き取り結果があるわけではありません。

誰が、なぜ、その場所を選んだのか。

そこは分けて考える必要があります。

この記事で記録したいのは、

行政が決めた避難場所の指定と、災害時に住民が実際に選ぶ避難先が、必ずしも同じになるとは限らない

ということです。

津波では「避難所へ行く」が最初の目的ではない

災害時には、「避難する=避難所へ行く」と考えがちです。

しかし、津波の場合に最優先するのは、津波の危険がある場所からできるだけ早く離れ、命を守ることです。

「いつもの避難所だから」

「前回みんなが行ったから」

という理由だけで、避難先を決めるものではありません。

自分がいる場所にどんな危険があるのか。

そこから、どちらへ移動すれば危険から離れられるのか。

そのうえで、市から発表される避難情報や避難所の開設状況を確認することが大切です。

多くの車が一つの場所へ向かったら

芦原中学校に多くの車が集まった光景から、もう一つ考えておきたいことがあります。

次の津波でも、多くの人が同じ場所へ車で向かったらどうなるのか。

ということです。

大きな地震の直後は、普段と同じように道路を使えるとは限りません。

2024年1月1日の能登半島地震では、あわら市内でも道路の陥没、断水、液状化などの被害が発生しました。

さらに、多くの車が同じ方向へ動けば、道路が混雑する可能性もあります。

もちろん、高齢者や身体の不自由な方、小さな子どもがいる家庭など、車での移動が必要になる場合もあります。

だからこそ、「とりあえず車で○○へ行く」だけではなく、別の方法も考えておくことが大切です。

次の津波に備えて、今のうちに考えておきたいこと

次の津波に備えて確認しておきたい5つの避難ポイントを示したインフォグラフィック
次の津波に備えて、避難方向・避難経路・車以外の移動方法・避難場所の災害種別などを確認しておきましょう。

普段から、次のことを一度考えてみてください。

  • 自宅からなら、どちらへ逃げるのか
  • 職場や学校にいるときは、どちらへ逃げるのか
  • 車が使えなかったらどうするのか
  • いつもの道路が通れなかったらどうするのか
  • 第一候補へ行けなかったら、次はどこへ行くのか
  • その避難場所は、津波のときにも使えるのか

災害が起きてから避難先を考えるのは簡単ではありません。

「津波のとき、自分はどちらへ逃げるのか」

を、平常時に一度確認しておくことが大切です。

あの日の避難に「正解・不正解」をつけるための記事ではありません

この記事は、

「芦原中学校へ避難したことが正しかった」

あるいは、

「間違っていた」

と評価するための記事ではありません。

災害の最中、それぞれの人が、そのとき持っていた情報の中で安全だと思う場所へ移動しました。

大切なのは、実際に何が起きたのかを残すことだと思います。

2024年1月1日。

あわら市にも津波警報が発表された。

そして、芦原中学校の駐車場には多くの車が集まった。

行政上の指定と、住民が実際に選んだ避難先には違いが見られた。

この出来事を、

「前回みんなが芦原中学校へ行ったから、次もそこへ行けばいい」

という話にしてはいけません。

むしろ、

「なぜ、あのとき多くの人がそこへ向かったのだろう」

「次に同じことが起きたら、どうすればもっと安全に避難できるだろう」

と考える材料にすることが大切です。

2024年1月1日の経験を、次の備えへ

あの日、芦原中学校の駐車場に多くの車が集まったことも、あわら市で実際に起きた防災の記録の一つです。

正解だった、間違いだったと決めるためではありません。

なぜ、多くの人がそこへ向かったのか。

次に同じ津波警報が出たら、自分はどう動くのか。

そして、

もっと安全に避難するために、今のうちに何を確認しておけばいいのか。

実際に起きたことを残し、次の備えにつなげる。

2024年1月1日の経験を、そこで終わらせないことが大切だと思います。

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